自己紹介
千葉明徳短期大学の学長を務めています吉田です。
専門は幼児教育で、特に「子どもの遊びがどうすれば豊かになるか」ということを研究しています。子どもが自分から「やってみたい」と思える環境をどうつくるか。これは保育の根本であり、昔から変わらない大切な視点だと考えています。
主体性の研究
子どもがやりたくなる環境には、大きく分けて“物の環境”と“人の環境”があります。物の環境とは、子どもが興味を持ち、手を伸ばしたくなるような素材や道具が豊かに用意されていること。多様なものがあると、子どもは自然と「やってみようかな」と思えるようになります。 もう一つの“人の環境”も非常に重要です。保育者が楽しそうにしていると、子どもは「自分もやってみたい」と思うものです。これは学生に対しても同じで、教員が自然体で楽しそうに関わっていると、学生もその姿に引き寄せられます。
だから私は、子どもに「一緒にやろう」と誘うのではなく、まず自分が楽しそうに動いてみることを大切にしています。その姿が子どもの主体性を引き出すモデルになるからです。 主体性とは、自分で「やってみたい」と思い、自分で動き出す力のことです。
自分で選び、自分でやってみた経験は、充実感や満足感につながり、それが自己肯定感を育てます。だからこそ、保育者が先回りして指示するのではなく、環境を整え、子どもが自分で気づいて動き出せるようにすることが大切なのです。
学生との向き合い方
私は学長という立場ですが、授業も持っていますし、実習にも行きます。学生から「学長先生も来るんですか」と驚かれることもありますが、私は学生と“人として”関わりたいと思っています。子どもと関わるときも、学生と関わるときも、基本は同じです。上から目線で「教えてやる」という関係ではなく、同じ人間として向き合い、「こうした方がいいかもしれないよ」と提案しながら、自分で考える力を育てる。それが本来の教育だと思っています。
学校という場は、自由であるべきだと私は考えています。ただし、自由とは“好き勝手にしていい”という意味ではありません。自由であるということは、自分を自分でコントロールする力が必要だということです。自分で考え、自分で動き、自分で責任を持つ。その力がなければ、社会に出てからは通用しません。だからこそ、学生には「自分で考えてごらん」と伝えています。
アドミッションポリシーと学生への想い
明徳短大のアドミッションポリシーには、3つの大切な言葉があります。 ・人が好きであること ・自分の考えを大事にできること ・仲間の意見を“面白がれる”こと この3つは、幼児教育においても、社会で生きていく上でも、とても重要な力です。
特に「仲間の意見を面白がれる」というのは、明徳らしい素敵な言葉だと思っています。
自分の見方だけに固執せず、「そんな考え方もあるんだ」と受け止められる柔軟さ。それが創造性につながり、保育者としての幅を広げてくれます。 学生には、いろんなことを面白がれる人であってほしい。自分の感性を大切にしながら、他者の感性にも耳を傾けられる人であってほしい。そういう人が、子どもの主体性を尊重し、豊かな保育をつくっていけるのだと思います。
学生の未来について
私は、子どもたちの主体性を大事にできる保育者になってほしいと思っています。
子どもは本来、自分で「やってみたい」という気持ちを持っています。学生たちも同じです。でも、学校という枠の中では、その気持ちが抑えられてしまうこともあるかもしれません。だからこそ、まずは子どもたちの「やってみたい」という思いを大切にできる保育者になってほしいと願っています。 言われたことだけをこなすのではなく、自分で動いて、自分で考えて、社会に関わっていける人になってほしい。
保育の仕事は絶対になくならない仕事です。でも、ただ指示を待つだけの先生ではなく、自分で考え続けられる先生であってほしいと思っています。
保育創造学科の本質はについて
本学の学科名は「保育創造学科」です。保育は創造的な営みです。子どもと一緒に、常に自分たちで考え、子どもの思いに寄り添いながら、そこに自分たちの“面白がる気持ち”も乗せて、一緒に何かを作り出していく。そういう姿勢を持ち続けてほしいと思っています。
だから、学校の中でも「ちょっとやってみたい」という学生の気持ちがあれば、できる範囲で一緒にやってみようと声をかけています。試してみよう、考えてみよう、やってみよう。学生にも、そういう“面白がる感覚”を持ってほしいんです。 「面白がる」というのは、もしかしたら本学の合言葉かもしれません。先日も、附属園に勤めている先生が「明徳の先生って、面白がるよね」と言ってくれました。その言葉が残っているだけでも、十分意味があるし、とても嬉しく感じました。
子どもは、いろんなことに気づき、見つけ、面白がります。その姿に一緒に乗っかれるかどうかは、とても大きいと思うんです。子どもが見つけた面白さを見逃さず、一緒に「面白いね」と感じられる感覚。それは保育者にとって、とても素敵な力です。
そこから、「じゃあこんな材料を出してみたらどうかな」「こんなものがあったらもっと楽しいんじゃないかな」と考えられると、保育の世界はどんどん面白くなっていきます。
保育者も面白がり、子どもも面白がる。
その中で材料を出すのは保育者ですが、使うのは子どもです。子どもが自分で「これ面白い」と動き出し、さらに楽しい世界が広がっていく。そうやって子どもは育ちますし、保育者も一緒に育てられていきます。 保育者として30年も働いていると、知らないことがないくらい、いろんなことに気づき、経験し、自分の引き出しが増えていきます。
でも、その入り口はいつも「面白がる」なんです。
千葉明徳短期大学の魅力について
本学では、保育だけでなく、さまざまな体験を用意しています。「体験から学ぶ」という言葉をスローガンで終わらせるのではなく、実際に学校として多くの仕掛けをしています。学生が「ネットで見たあの場所、面白そうだから行ってみたい」と言えば、「じゃあ電話してみようか」「見学に行ってみようか」と柔軟に動ける学校です。大きな大学ではなかなかできないことかもしれません。 学生と一緒に「面白いね」と感じたことを、もう少し突き詰めてみよう。
そういうことができるのが、この学校の良さだと思っています。他の学校にはない体験を通して、学生が自分の興味や視点を見つけていける。それは本当に素敵なことだと思います。
そして、その“面白さ”が自然と生まれるような学校の空気をつくることも、私たち教職員の大切な役割です。幼稚園の先生が、子どもが遊びたくなる環境をつくるように、私たちも学生が「面白い」と感じられる環境をつくらなければいけない。そういう雰囲気づくりが、とても大事だと思っています。
実績と特筆事項
専門:幼児教育学・保育者養成
- 研究キーワード:幼児教育学(Childhood Education)
- 研究分野:教育学
→ 幼児教育の基盤理論と保育者の育成を専門とする研究者。
幼児の「遊びが育つ環境条件」の研究で著名
- 遊びの拠点形成
- 物・空間と遊びの関係
→ 子どもの遊びを支える環境づくりの第一人者。
保育者養成・体験的学習の研究
- 保育所実習で学生が何を学ぶか
- 体験的学習の意味
→ 学生の「気づき」「幼児理解」を深める教育研究が豊富。
書籍・教材の執筆多数
- 『保育者論』(樹村房)
- 『保育内容総論の探究』(相川書房)
- 『教育原理の探究』(相川書房)
→ 保育者養成の基礎を支える重要な書籍を多数執筆。
NHK Eテレ「すくすく子育て」専門家出演
- 「困った!○○しない」などのテーマで出演(2022)
→ 一般向けの子育て番組にも出演する実践的な専門家。
学会活動・社会的役割
- 日本教育学会
- 日本教育方法学会
- 日本保育学会
- 短期大学基準協会 評価員
→ 教育界・保育界で幅広く活動する信頼性の高い研究者。